プロ選手が走る。淡路島から世界に通用する安全なライド。

淡路島は日本を代表するサイクリングアイランドです。
風光明媚(ふうこうめいび)なコースを目指して、四季を問わず全国からサイクリストが訪れます。
淡路島をグルッと1周すると距離は約160㎞。
偶然にも、ロングライドを目指す人が目標の1つとするのがセンチュリーライド(160.9㎞)の距離とほぼ同じです。
そのような訳で、“アワイチ”は本格的なサイクリストに親しまれています。
しかし、淡路島を走る魅力は“アワイチ”だけではありません。
コースアレンジが豊富なので、距離は短め、楽しさは濃厚で…というリピータも多くいます。

そんな淡路島を、より楽しく走るため、日本トップのプロチーム“マトリックス・パワータグ”の選手にご協力をいただき、安全に走るためのアドバイスをいただきました。
どんなに楽しいサイクリングも、ケガなく終えることが大切なのは世界共通。
そして、上級者ほど安全に気を配って走行しています。
レンタサイクルで走るのも、自分のバイクを持ち込んで走るのも、楽しいライドの基本は常に“安全”が基本にあるからです。

TEAM MATRIX POWERTAG

  • Yoshida

    Yoshida

  • Yasuhara

    Yasuhara

  • Airan

    Airan

プロ選手が走る。淡路島から世界に通用する安全なライド。

走る前に

走り出す前に点検してトラブルフリーに

安全に楽しく走る。
淡路島の素敵な休日の始まりは、走行中のトラブルを未然に防ぐ安全点検から。
例えば、タイヤが古くなってトレッドゴムにヒビが入っていないか、磨耗していないか、ハンドルステムやシートクランプのボルトといった緩みやすいネジ類のチェックは、スムースなスタートのためにも、前日までに行いましょう。

当日、走り出す前に必ず確認しておきたいのが空気圧。
たくさん空気を入れればペダリングが軽く、少なめにすると乗り心地が良くなる……とは限らない。
タイヤの太さ、体重、コースによっても快適に走れる設定は人それぞれ。
前輪と後輪で空気圧を揃える人もいれば、後輪の空気圧を少しだけ高くする人もいる。
正解は自分で探すとして、そのヒントになるのが、タイヤのサイドに記されたメーカー推奨指定空気圧。
上級者はこの範囲を守りつつ、疲れにくく、走行感も軽く、コーナーも安心して走れる設定を知っています。
上級者に1歩でも近づくために、空気圧計の付いている空気入れを使いましょう。

乗り方

ヒルクライム

リラックスして、視線を落とさない

淡路島には標高が高く、距離の長い峠こそないものの、コースアレンジ次第で様々な種類の勾配の坂があります。
登坂を安全に走るポイントは、後ろを走るライダーのように視線を落とさないこと。
理想は前走者のようにリラックスしたフォームです。
力一杯走ったり、疲れたりすると視線が下がりがちですが、視点をしっかりと遠くにキープすることで蛇行を避け、オーバーペースで更に苦しむことを防ぐことができます。

コーナリング

アウト・イン・アウトはだめ!キープレフトで安全に

上手にコーナーを曲がれた時の喜びは、サイクリングの醍醐味の1つ。
ついついスピードを出したくなる人も多いが、上手になりたいなら、自信を持って曲がれるスピードまで減速すること。
走行するラインはレースやサーキット走行であればコーナーの入り口で外側からアプローチし、コーナーの頂点でイン側へ、そして再び外側へ走行ラインを取るアウト・イン・アウトを思い浮かべる人もいるが、公道走行では常にキープレフトで走行します。また、コーナーの内側の足が下にあるとペダルが路面に当たる可能性があるので、外側の足を下げるか、両足を水平にして曲がるように。
視線は常に遠く見ましょう。

車間

  • OK
  • NG

急ブレーキにも対応できる距離が基本

サイクリングは一人よりも二人、三人よりも四人の方が効率的に走ることができる。
マトリックス・パワータグの選手たちが接近して走るのは、前走者のすぐ後ろは空気抵抗が小さいから。
しかし、初心者が真似ると前走者にぶつかって転倒する可能性があります。
自転車2台分くらいの車間を空けて走行すると、“前の人にぶつかる”とか、“後ろの人にぶつけられる”という不安を解消できます。

ハンドルの握り方

  • OK
  • NG

ドロップハンドルにはグリップする位置が(上から)アップハンドル、ブラケット、ドロップの3ヵ所あります。
ブラケットで走っている時間が最も長いのが一般的ですが、前傾姿勢が浅くなるアップライトを多用する人も多い。
その時に気をつけたいのが、ハンドルの握り方です。
路面状況が悪い場所を走行する時は、親指をハンドルに巻き込んでホールド力を高めます。
親指をハンドルに添える握り方はヒルクライムの時だけにしましょう。

ブレーキは前後5:5が基本

同じように見えても、ブレーキは前後で利き方が違う。
学校の自転車教室では後7、前3と習った人も多いはず。
しかし、より積極的にブレーキ性能を発揮させるなら、前後の配分は5:5。
ブレーキが利き始めるまではスパッと、その後はじわっとレバーを握るようにすると安全に減速ができます。

ハンドサイン

ハンドサインについて

後ろの人とコミュニケーションを取りながら走る

本格的に走行しているサイクリスト達を見ていると、頻繁に手を動かしながら走行していることに気がつきます。
行っている内容は、小学生の時に習ったハンドサインと基本は同じ。違うのは、より細やかにコースの状況や、この先の走行情報をシェアしています。
では、やり方を見てみましょう。
ただし、ハンドルから手を離すのが難しい状況や、手を離すのに不安があるときは「右!」、「落下物!」、「ブレーキ」と口で伝えるのでも十分です。

  • [右左折]

    曲がる方の手で、進行方向を指さします。
    方向を指した後に、指先を上下に振るようにすると他のハンドサインとの勘違いを防ぐことができます。

  • [減速]

    掌を平行にして、下に向かって押さえるようにゆっくり上下させるとスピードを低下させるサインです。

  • [落下物]

    路上にある落下物や穴を指さすようにし、手を上下させてサインを出します。
    指先を左右に動かす場合は砂や落ち葉で滑りやすい路面というサインです。

  • [左・右に寄れ]

    路上駐車車両や歩行者がいて進路を変える時は、手を後ろに伸ばし手をスナップさせるようにして、進路を変更する方向を伝えます。
    道幅がないコースでは「対抗!」と対向車両とすれ違う時にも使います。
    “後続者はサインを出してあげないと情報が分からない”という前提でサインは小まめに出しましょう。

  • [停止]

    信号などで止まる時は、お尻の近くで手をグーパーグーパーさせて注意喚起を行います。
    減速か停止かが分かりにくい状況もあるので、しっかりと状況を知らせることで、自分の安全も守ることができます。

走行時の注意

並んで走るのはNG

NG

追い抜く一瞬と並進可の標識が出ているルートを除いて、仲間と横に並んで走行するのは道路交通法で禁止されています。

路面には細心の注意を払おう

雨が降った時に、スムースに道路から排水するために設けられている格子状のグレーチングは、細いタイヤ(23C以下)だと溝にタイヤが嵌(は)まってしまう可能性があり、雨天時にはスリップして転倒する原因になることも。
淡路島はサイクリング用に対策済みのグレーチングもあるが、すべてが対策品ではないので気をつけましょう。
また、グレーチングのあるところでは、砂が浮いている可能性もあります。

路上駐車を追い抜く時は、バックミラーに注意する

市街地や道幅の狭い住宅地を走行する時は、路上に駐車している車両を追い抜くことがあります。
駐車したばかりのクルマ(車両)だと、ドライバーが後方を確認せずにドアを開けて、接触事故になることがあります。
そこで、路上に駐車している車両を見つけたら車両のバックミラーやヘッドレストに注目。ドライバーの有無や動きを見ることで、次の動きを予測できます。
ドライバーがいる時は、後方をよく確認してから1.5mくらいは車間を空けて通過します。
また、ドアが開きそうになったら「自転車!」と声を出すことで予防策になります。

ゴール時間から逆算する

アワイチなどロングライドは走行時間も長く、予想以上にペースが上げられないことがあります。
そんな時は目標をあきらめる判断も必要です。
走行距離を目標に設定しがちですが、疲れた状態で暗い道を走行するのはライトを装備していても危険です。
日暮れまでにゴールできるようにコースやペースをアレンジしましょう。

休憩について

補給と休憩

自転車は効率的な乗り物です。
ロングライド愛好者の中には、淡路島を1日で2周する“アワニ”を達成する人もいるほどで、普段は運動をしない人でも、正しいペースで走れば20~30㎞程度なら無理なく走行できます。
快適に長い時間を走行するために心掛けてほしいのが、早めの水分&栄養補給と適度な休憩です。
季節やペースにもよりますが、1時間にボトル1本(500cc)は飲むようにしましょう。

NG

また、走りながら飲む時は飲み口を下にするようにして飲むこと。
ボトルと顔を一緒に上げる人も多くいますが、前方不注意になるので絶対にやめましょう。

休憩は疲れ切ってしまう前に計画的に取りましょう。
平地なら1時間に1度、上りがある場所では頻度を増やしてもOK。
走行時間が1時間を超えたら、補給食を少しずつ摂ると疲れを抑えます。
休憩のポイントは、長く休みすぎないこと。
頻度は多くても構いませんが、長く休むと副交感神経が働き、再び走り出す時に身体が重く感じてしまいます。

ストレッチでリフレッシュ

休憩する時はストレッチをしましょう。
同じフォームで走行していると疲労もたまるので、リフレッシュを兼ねて肩甲骨周りを動かしたり、トップチューブに足をかけてハムストリングスを伸ばしたりしましょう。

駐輪マナー

駐輪について

淡路島ではサイクリストのためにサイクルラックを設置している店が増えているので、是非とも活用してください。
サイクルラックに自転車をかける時はハンドルではなく、サドルをバーに引っかけるようにします。
自転車の向きを前後交互にすると、より多くの台数を駐めることができます。

NG

駐輪する時は必ず鍵をかけましょう。
ただし、ガードレールや消火栓など公共のモノを巻き込まないようにしましょう。
このような迷惑駐輪は“地球ロック”と呼ばれ、忌み嫌われています。
店の看板や柵は私物なので、こちらも一声かけてから駐めるとスマートです。

Model

TEAM MATRIX POWERTAG

  • 吉田 隼人 選手

    Hayato YOSHIDA

    マトリックス・パワータグ、プロ10年目。

  • 安原 大貴 選手

    Daiki YASUHARA

    日本大学自転車競技部での競技活動途中から2011年にマトリックス・パワータグに入団。
    現在はチーム在籍10年目。

  • アイラン・フェルナンデス 選手

    Airan FERNANDEZ

    2014年3月来日、マトリックス・パワータグに入団。

選手からのメッセージ

今まで、アワイチはコンビニ休憩だけで走っていましたが、淡路島をゆっくり巡り、十分に満喫することができました。
海を常に感じながら走ることのできる右回りが特にオススメです。
海沿いを走れば坂は少ないので、体力に自信のない方でも安心です。
「山に行きたい!」って方にも、走りがいのある長い登り坂があり、景色もいいので、とても気持ちのいいライドができます。
観光スポット巡りやグルメライドにもおすすめです。
そして、淡路島は僕らの様なトレーニングや合宿でも走行できる場所だと思います。
ぜひ、安全に淡路島ライドを楽しんでください!

Text

菊地 武洋 Takehiro KIKUCHI

自転車ジャーナリスト。
80年代から国内外のレースやサイクルショーを取材し、分かりやすいハードウエアの評論は定評が高い。
近年はロードバイクのみならず、クロスバイクのインプレッションも数多く手掛けている。
レース指向ではないが、グランフォンドやセンチュリーライドなど海外ライドイベントにも数多く出場している。

Photo

和田 八束 Yazuka WADA

ツール・ド・フランスなどで活躍をしたグレッグ・レモン氏の1989年の大逆転劇をテレビで観て自転車競技の奥深さに魅了される。
写真の専門学校を卒業した翌週には、インターネットでの情報がほぼ無い時代に「まず行ってみよう!」とパリ~ルーベなどのクラシックレースを撮影するため渡欧。
以降ツール・ド・フランスを始めとする世界の自転車シーンを撮り続けている。
近年ではフィギュアスケートやダンススポーツなどをフリーランスのフォトグラファーとして撮影している。

Coordinator

バイシクルハブあわじ Bicycle Hub Awaji

アクセスが簡単な "道の駅 東浦ターミナルパーク" 内のサイクルショップ。
自転車販売や、初心者から経験者まで幅広い層にレンタサイクルやサイクルイベントを行なっています。

所在地:淡路市 道の駅 東浦ターミナルパーク内
営業時間:8:30~17:00
定休日:不定休
ホームページ:http://awajibicycle.com/